既存の理論だけでは捉えきれなかったこと

人を理解するための理論や方法は、すでにたくさんあります。

性格や特性を見るもの。
行動傾向を捉えるもの。
人間関係を理解するもの。
目標達成や自己実現を支援するもの。

それぞれの理論には、それぞれが得意とする視点があります。

IAMは、それらを否定するためにつくられたものではありません。

私自身も、さまざまな心理モデルや対話の方法を学び、実際のセッションや企業1on1の中で活用してきました。

その一方で、人と関わり続ける中で、ひとつの理論や分類だけでは説明しきれないことがあると感じるようになりました。


同じ人なのに、なぜ反応が変わるのか

人には、それぞれ一定の傾向があります。

けれど、同じ人がいつでも同じように振る舞うわけではありません。

安心している場所では落ち着いて判断できる人が、特定の環境では過剰に警戒することがあります。

普段は自分の意見を持っている人が、ある相手との関係では相手に合わせ続けることがあります。

能力の高い人が、ある組織では十分に力を発揮できなくなることもあります。

反対に、環境や関係性が変わっただけで、それまで見えなかった力が自然に現れることもあります。

その違いを、「その人の性格」だけで説明することには限界があります。


自分を理解していても、同じ反応を繰り返すことがある

自分の性格や特徴を理解することは、大切な自己理解のひとつです。

けれど、

「私はこういう傾向がある」

と分かっていても、特定の状況になると同じ反応を繰り返すことがあります。

頭では分かっているのに、反応が止められない。

普段なら選ばない行動を、特定の相手の前では選んでしまう。

そうした時、その人の特性だけではなく、

その時どのような状態にいるのか。

を見る必要があることがあります。

IAMでは、固定された特徴だけではなく、その時々の状態の変化も見ていきます。


個人の問題に見えて、個人だけの問題ではないことがある

職場や家庭では、一人の人の問題として扱われていることがあります。

「主体性がない」

「仕事を抱え込みすぎる」

「人に頼れない」

「すぐに反発する」

「周囲を気にしすぎる」

けれど、関係性まで含めて見ていくと、違うものが見えることがあります。

誰に責任が集中しているのか。

誰が場の調整を引き受けているのか。

誰の期待を誰が察して動いているのか。

どこで役割が固定されているのか。

どこで境界が曖昧になっているのか。

一人の特性に見えていた反応が、実際には関係性の中で生まれていることもあります。

IAMでは、人を個人だけで切り離さず、関係性の中での位置や配置も見ていきます。


能力があることと、能力を発揮できることは同じではない

その人が持っている能力と、その能力を実際に使える状態にあることは、必ずしも同じではありません。

知識がある。

経験がある。

判断力がある。

人を支える力がある。

それでも、過度な負荷や緊張の中では、本来持っている力を十分に使えなくなることがあります。

反対に、安心できる環境や適切な役割の中では、それまで本人さえ気づいていなかった力が現れることもあります。

そのためIAMでは、

「この人には何ができるのか」

だけではなく、

「どのような状態や環境で、その力を扱うことができるのか」

も見ていきます。


目標を決める前に、見る必要があることがある

コーチングでは、

「どうなりたいか」

「何を実現したいか」

「次にどんな行動をするか」

といった問いが使われます。

これらが有効な場面は多くあります。

一方で、人が強く防衛している時や、周囲への適応によって自分の感覚が分からなくなっている時には、未来の目標を考えることそのものが難しい場合があります。

その状態で目標を設定しても、それが本人の望みなのか、周囲から求められていることなのかが分からないこともあります。

目標達成や自己実現の前に、

いま、その人はどのような状態にいるのか。

そこを見る必要があることがあります。

IAMでは、行動を決めることだけではなく、その行動を選んでいる前提となる状態にも目を向けます。


IAMが見ているもの

IAMでは、人をひとつの特徴だけで捉えません。

その人が何に反応し、どの方向へ動きやすいのか。

いま、どのような状態にいるのか。

関係性の中で、どのような位置にいるのか。

どのような反応や生き方を身につけてきたのか。

そして、それらがどのようにその人の力として現れているのか。

こうした複数の観点を重ねながら、その人の現在地を見ていきます。


IAMの違いは、分類の細かさではありません

IAMは、人をより細かく分類するためにつくられたモデルではありません。

新しいタイプ名を増やすことや、

「あなたはこのタイプだからこういう人です」

と定義することを目的としているわけでもありません。

IAMが見ようとしているのは、

「この人は何者なのか」だけではなく、
「いま、この人に何が起きているのか」

ということです。

同じ人でも、状態が変われば反応は変わります。

関係性が変われば、担う役割も変わります。

環境が変われば、使える力も変わります。

IAMでは、その変化も含めて人を見ていきます。


既存の理論と組み合わせることもできます

IAMは、既存の心理モデルや対話の方法と競合するものではありません。

人の特性を理解するための理論。

コミュニケーションを理解するための理論。

コーチングや対話支援。

それぞれが捉えているものには、それぞれの価値があります。

IAMは、それらとは異なる角度から、

状態の変化、関係性の配置、その人の力の現れ方

を見ていくためのひとつの地図です。

どれかひとつの理論ですべての人を説明するのではなく、必要な視点を組み合わせながら、その人に起きていることを理解する。

IAMは、そのためのモデルとして開発を続けています。

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